オールローズギター①

今年の大きな目標でありました菊川ハンドメイドギターショーも無事終わり、

また溜めこんでしまったリペアに没頭する日々を送っています。

 

そのギターショーでお披露目させていただいた当工房の新作、

オールローズTetra。

 

きっかけは7月にかかってきた1本の電話でした。

あ、いや、メールだったかな?

 

「インドローズの大盤を見つけまして、それを使ったオールローズギターを作ってくれる方を探しています」

 

ご連絡下さったのは、デジマートマガジンさんコラムでもおなじみの

FINEWOODさん。

 

オールローズ!!

そんな面白そうな話、断ったらご先祖様に怒られます。

仕事はパンパンだったけど、その分夜なべすれば良いじゃあないかと自分に言い聞かせ、

即やりますとお返事をさせていただきました。

この無計画さ、自営業万歳です。

 

と言う訳で、

そのやりとりからわずか1週間後、

FINEWOODさん自ら工房に運んで下さいましたのがこちら。

 

Y.O.S. オールローズ

ん?これ・・・ほんとにローズです?

 

なんでも昭和40年代に輸入された大盤の板が、

奇跡的にそのままの状態で保管されていたそうで、

これでもその1部だそうです。

FINEWOODさんのこの材との出会いの経緯はデジマートマガジンさんコラムをご覧ください

 

 

そんな素敵な逸話を伺いつつも、

目の前にあるのは木の色も木目も判らない(つまり汚い・・・)

そしてやたら重たい1枚板。

 

この時点で気安く引き受けたことをちょっと後悔。

不安9割。

 

なんせ一人じゃ持てません。

 

でもそこは、

「どうせ私が買い付けた材じゃないし」

とポジティブ?に考え、

前に進むことにしました。

 

まずは、とにもかくにも、木目を拝まないことには

プランの練り様がありません。

 

そこで・・・

オールローズ

割れの多い芯持ち材ですから、

大きさの割に使えそうな部分は少ないです。

 

なんとなく使えそうな部分にそれっぽい罫書きをして、

切ってみることにしました。

もちろん2人がかりです。

インディアンローズウッド

ひとまずこんな状態まで切断。

一部サンダーなどを当ててみると、素晴らしい色味のローズらしいローズが出てきました。

ほうほうこれは・・・・。

 

さらに他の材にもプレナーを当てて、

表面をさらってみます。

インディアンローズウッド オールローズ

硬い硬いローズウッドの切削音で耳がキーンとなってますが、

こうしてついに木目とご対面。

 

想像以上にワイルドな木目が出てきました。

 

それこそローズの大板となると、

Martinのバック材のような柾目ドーンってやつを思い浮かべますので、

こんな表情豊かなローズは初めて見ました。

表皮に近い部分、芯に近い部分、節に近い部分それぞれで色も硬さも表情も違って、

同じ木から切り出したとは思えないくらいバリエーション豊かです。

中には複雑な杢が出ている部分も。

 

こうして素材が出そろった段階でイメージを膨らませ、

PCで図面とイラストを描いてみました。

Y.O.S. オールローズTetra イメージ

当工房のオリジナルモデルTetraを

オールローズで作ってみます。

 

元々Tetraはテレキャスターのオマージュモデルですが、

オールローズでテレキャスターではベタなので、

今回は3シングル仕様で作ってみます。

 

そうなったらブリッジはやっぱりトレモロだよね。

さらに重たくなるけど大丈夫?

それがオールローズの幸せの重みだよ。

などと妄想しながら、

私の得意のスペックですので、

使用パーツまであっさりと決定。

 

素材的には余裕がありそうなので、

出来ればピックガードもローズウッドで。

 

素材への敬意、伝統への敬意、そして私らしさ、オールローズへの挑戦

そういったもの全てを含んだギターを目指します。

 

おそらく世界でも類を見ない、

全て同じ木から切り出した

オール共木ローズウッドギター。

 

ここまで来るとようやく楽しくなってきましたが、

あらためて責任の大きさを痛感するとともに、

この後もまだまだ大変な作業は続くのです。

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ABOUT YOS

静岡県島田市のギター工房です。
カスタムオーダーギター・ベースの製作、リペアとカスタマイズ、オリジナルエフェクターなどの設計・製作をしています。

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