塗装のタッチアップ修理

出勤中の車の中がやけに寒いな~と思ったらそりゃそうです。

もう12月中旬。

今お預かりしている修理品たちは

なんとか年内に返却したいぞと奮闘中です。

今しばらくお待ちください。

 

今日のブログは、

お問合せが多いメニューの1つでもあります、

塗装の部分修理。

タッチアップとか呼ばれる作業をご紹介します。

 

まずは今回の作業の様子をご覧ください。

こちらは鮮やかな白のストラトキャスター。

ボディの側面とお尻に近い部分に大きなダメージがあります。

 

 

楽器の状態としては以下のような感じです。

  1. ポリ塗装のギター
  2. 黄色味の少ない鮮やかな白
  3. 割れ部周辺は塗装が浮いていて拡大の恐れあり
  4. 部分的に木部欠損

これに加えて、

あとはお客様がどの程度までの修理をご希望になるかで

作業方法を検討します。

 

今回は

  1. 割れ止め & 簡易的な色補修
  2. 出来るだけ修理痕が残らない綺麗な仕上げ

この2パターンでお見積りをさせていただいた結果、

出来るだけ綺麗に修理する方向で進めさせていただくことになりました。

 

まずは割れ部周辺の処置から。

患部周辺は大きな段差がありましたので、

それを塗装だけで修正するのは難しい状況でした。

 

幸い木目が見えない塗装で仕上げますので、

段差は木工用のパテ等を利用して整えました。

 

この上に色の下地となる塗料を吹き付け乾燥、

その後研磨して塗膜を整えます。

 

そしたら着色。

マスキングの色が派手でスイマセン。

 

見た目はアレですが、

患部周辺は下地塗装でしっかりとコーティングされ

表面は綺麗に整っています。

 

このようなスポットの着色には、

エアブラシが便利ですね。

(昔ガンプラ塗装用に買ったやつが今頃大活躍)

 

 

ところでこのギター、誰がどう見ても白に見えると思いますが、

実はその白の色合わせは超難易度で、

「白」として売られている塗料を吹き付けて、

同じ色になることはまずありません。

ちょっと黄ばんでいたり、青みがかっていたり。

それは元の白だけではなくて、その上のクリアが変色している可能性もあります。

 

今回も3回ほどやり直しをしましたが、

最終的には白い塗料に、

黄色、赤、そしてわずかな黒を混ぜて丁度良い色になりました。

 

その後ウレタンクリアを薄く吹き付けます。

 

 

一般的に塗装のタッチアップ修理は、

元の塗料に関わらずラッカーを用いることが多いです。

元の塗膜との馴染みが良く、

細かい微調整が利きやすいためです。

 

ただラッカーはどうしても黄ばんでしまうため、

白の塗装補修には使えません。

 

 

さぁ、仕上げです。

新しく塗料を乗せた部分を水研ぎし、

バフがけをして、

美しくグロス塗膜に仕上げました。

 

おそらく何も知らない方が見たら

修理されていると気付かないと思います。

 

ただそれでも右の写真をご覧いただくと、

蛍光灯の映り込みの中に1本のスジが見えますね。

これは新旧の塗膜の境目で、

ポリ塗装やウレタン塗装は完全には馴染んでくれません。

これは今回のギターではやむを得ないことなんですが、

技術者としてはもっと完璧に仕上げられたらと思います。

 

 

塗装修理は多かれ少なかれこういった要素があります。

いつもちょっと悔しく、スッキリしません。

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静岡県島田市のギター工房です。
カスタムオーダーギター・ベースの製作、リペアとカスタマイズ、オリジナルエフェクターなどの設計・製作をしています。

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