思い入れと思い出

島村楽器静岡パルコ店さんイベントも無事終了し、

続いては恒例のすみやグッディ藤枝店さん。

 

店頭メンテナンス&リペア相談会

28日(日)13:00スタートです。

お待ちしてます!

 

 

今日のブログは、

このところお預かりしていたリペア事例を2件ご紹介。

 

どちらも決して有名機種や人気機種ではないのだけど、

ご依頼主にとっては大切な楽器なのでした。

まずはこちら、

Aria ProのFE60という80年代製のエレアコです。

 

お預かりした時の写真を撮り忘れてしまいましたが、

ご覧のとおり、塗装に白く濁る症状が出ています。

 

この症状は古いウレタン塗装の楽器に現れることが多く、

熱を加えると取れる場合もあるのですが、

完全な回復は難しく、

今回は思い切ってトップ面の塗装塗り替えをご依頼いただきました。

 

アコギのリフィニッシュで一番やっかいなのが、

ボディトップに接着されたブリッジ周り。

 

何を作業するにも邪魔で、

そのままではどうしてもブリッジ周囲の仕上がりが満足に行きません。

 

今回はご相談の結果、

一旦ブリッジを剥がし、

塗装後再接着させていただくことになりました。

 

その分工賃は乗ってしまいますが、

塗装の仕上がりは確実に美しくなります。

 

そうしてブリッジを剥がしたのが上の写真。

 

さぁ、完成まで一気に見てみましょう。

リフィニッシュに際して、

ボディトップは全てラッカー塗料を用いて塗装しました。

細かい打痕やバインディングの剥がれも

全て丁寧に修復しています。

 

経年変化により焼けた色味も

着色で再現。

 

バフがけまでしっかりと行い、

綺麗なグロスフィニッシュで仕上げました。

 

元は塗膜の上に接着されていたブリッジも、

より強固に接着するために、

ブリッジ下部には塗装を施さず、

木材同士をしっかり密着させて接着し直しています。

 

ブリッジ自体、

黒くてエボニーに見えますが、

実はローズウッドに色が付けられているもの。

こちらも傷等が目立ちましたので、

再研磨し再度染色、

その後オイルで仕上げています。

 

薄いラッカー塗装のボディと併せて、

これまで以上によく鳴ってくれるはず。

 

今回の修理にかかった代金は、

このギターの元の本体価格を超えているはず。

 

その思いがひしひしと伝わってまいりましたので、

私は「頼んで良かった」と思っていただけるよう

一生懸命作業させていただきました。

 

結果、すごい高級感あふれる仕上がりになったと

自画自賛。

塗膜の美しさって、大事です。

 

 

 

さぁ、もう一本はさらにすごいです。

こちらはYAMAHAのno.25というガットギター。

私も全然知らないモデルなので調べてみたら、

なんと1960年代のもの。

 

日本製ギターとしては最初期に近いものだと思います。

 

その作りは、失礼な書き方をしてしまうと

「見よう見まね」状態で、

今となっては素晴らしい作りとは言えませんが、

技術も設備も情報もほとんど無い中でこれを作り上げたのだと思うと、

頭が下がります。

 

お預かりした時には弦も張られておらず、

各部に汚れや損傷が見られる状態。

 

完全な修理は難しいものの、

何とか弾ける状態にというところで

お引き受けすることになりました。

全体的にくすんでいた塗膜は、

表面にこびりついた汚れを丹念にふき取り。

そしたらさすがの50年戦士。

貫禄ある渋い艶と、カッコ良いウェザーチェックがあらわれました。

 

ヘッドにあるJISマークが時代を感じさせます。

 

フレットは全て磨き直し、

謎の材質の指板はオイルでしっかりと保護をします。

 

ブリッジは半分剥がれていましたので、

数日かけて丁寧に接着。

 

損傷の大きいペグは新しいものに交換。

元のペグと互換性のあるものは今では入手が出来ませんので、

ヘッド側にも多少の加工を施し、

独立型のペグを取り付けて対応しました。

 

弦を張り、サドルの調整をして無事作業完了です。

 

 

正直このギター、

修理する前も現在も、

ものとしての価値はほとんどないと思います。

 

 

こういったぼろぼろのギターの修理、

実は結構な件数ご相談いただきます。

修理金額は決して安くならないため、

お申込にまでつながらないケースがほとんどで、

今回も最初にご相談いただいた時には失礼ながら、

「これはご依頼いただけないかな・・・」と思いながら

お話させていただいてました。

 

ただお話を伺っていると、

ご依頼主やそのご家族にとっては、

おじい様との思い出が詰まった大切なものだとか。

 

「子供のころこれでいろいろ弾いてもらって・・・」とか

「息子がこのおじいちゃんのギターを弾きたいと言ってて」とか

素敵なお話を伺っているうちに、

内心(これはなんとかしてあげたいなぁ)状態。

 

 

しかもその後ご依頼主の口からとどめの一言。

「実は以前他のお店に持っていったら、治せないって言われちゃって・・・」

 

「やりましょう、いや、やらせてください!」

 

 

というわけで、

逆に私がすっかりと口説き落されて、

全力でお手伝いさせていただくこととなりました。

 

 

ありがとうございました~。 

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    YAS (火曜日, 23 2月 2016 09:29)

    良いお話しですね。楽器の価値は高級材や最新の技術が使われているかどうかでは決まらないものだと改めて感じました。人の思いが詰まった楽器・・・一番良い音がするのでしょうね。自分の持っている楽器もいつかそんな楽器になるといいな~としみじみ思いました。そういえば、私のFactorも方々で断られたものでしたが引き受けていただきました。吉田様のそういうところがユーザーの皆さんを魅了しているのでしょうね。

  • #2

    Y.O.S.吉田 (水曜日, 24 2月 2016 00:06)

    おっしゃる通りだと思います。ギターは木材故にトラブルも多いですが、木材だからこそ修理もできます。弾かれずに保管されているものでは無く、ぼろぼろになるまで使われている楽器ほど私は美しさを感じます。

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静岡県島田市のギター工房です。
カスタムオーダーギター・ベースの製作、リペアとカスタマイズ、オリジナルエフェクターなどの設計・製作をしています。

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