アコギの配線いろいろ

また風邪気味だな~と思ったら

こいつは花粉だ!

 

私は5歳の頃から花粉症なので

もう30年以上のキャリアを誇るベテランです。

つまり「春」という季節、その響き、

楽しいものは何一つ感じません。

お花見?

花粉舞い散る屋外でアルコールなど、

自殺行為ですよ、ええ。

 

しばらく東京暮らしでしたので、

久々に山々に囲まれる静岡の春、

覚悟して臨むこととしましょう。

 

 

さぁ、今日はアコギの配線関係をいくつかご紹介。

基本生楽器のアコギですが、

やはり演奏環境によっては、アンプから音を出す必要があります。

 

まずは普通のアコギに、

ピックアップを搭載する作業から。

こちらはMartinのD-28。

アコ界の帝王ですね。

 

今回はお客様にお持込いただいた

L.R.Baggs社のLyricというピックアップを取り付けます。

エレキのピックアップとは違い、

これはつまりマイクです。

感度の良いコンデンサーマイクをボディ内に設置します。

 

基本的にはマニュアル通りの作業なんですが、

一番難しいのがジャックの取付け。

 

エレキの様に、

ボディトップやサイドに穴を開けることは殆ど無く、

ボディエンド部のストラップピン穴を広げ、

そこに「エンドピンジャック」というパーツを取り付けることが多いです。

 

この穴を広げる作業、

たまに「自分で・・・・」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、

あまりお勧めしません。

この部分、ボディ内部には「エンドブロック」という

30㎜程の厚い木材が入っています。

それを直径12mm程の穴で貫通する訳ですから、

しっかりした準備と機械が必要です。

さらに、周囲の塗膜にも留意しなければなりません。


無事穴が開いたら、

全てのパーツをインストールして作業完了。

ボディの中で線がぶらぶらしないように、

綺麗にまとめておきます。

右上の写真が作業完了後の内部の様子で、

ブリッジの下についているのがマイク、

サウンドホールの脇に貼ってあるのが

ボリュームコントロールですね。

 

 

続いては

もともとピックアップが付いているモデルのリペアです。

このモデルはArai(現アリアプロ)のアコギ。

J150Eというモデルで、

ギブソンのJ160Eを意識したものだと思います。

 

マグネティックP.U.が最初から搭載されているのですが、

弦のアースが採られていないため、

ノイズが目立ちます。

今回はそのリペアのご依頼でした。

 

アコギの弦アースを取る方法はいくらかあるのですが、

今回は写真中央のようなパーツを自作し、

内部に設置することで、

弦のボールエンド部からアースを取ることに。

 

何故弦3本からしかアースを取らないかというと・・・

右写真をご覧ください。

何と、ブリッジ裏中央にブレイシングが!?

こんな構造、初めてみました^^;

 

このギターは幸い、

ゼロフレットが付いていましたので、

常に弦6本は電気的に導通している状態。

1本でもアースが取れれば良いということで

このような構造にしました。


そして配線をしていくのですが、

裏ぶたを外せばサーキットが見えるエレキとは違い、

アコギの配線は全て外で行い、

その後組み込むという作業になります。


今回はこんな感じです。


サウンドホールから一旦全てのパーツを出し、

弦アースをはんだ付けします。


大変なのはその後で、

配線済みのパーツを元に戻さなければなりません。


そこで私は上写真のような道具を使います。

長いワイヤーの先に、配線系のパーツが取り付けられるようにしたもの。

もちろん自作の道具です。


今回はポット×2とジャック×1ですので、

それぞれの為のワイヤーを用意。

それを右上写真の様に、

取り付けたい穴からサウンドホールに通しておきます。


左下のように各パーツを取り付け、

ワイヤーをゆっくり引っ張っていくと、

右下写真の様にパーツが出てくる、

というわけです。


針金なんかをパーツに括り付けて行う方もいらっしゃるようですが、

針金での作業は、

引っ張ってる間に脱落が多く、

都度やり直しになるため、

心が折れます。


この道具を用意してからは

アコの配線もストレス知らずになりました。


当たり前ですが、

工夫って大事ですね。

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静岡県島田市のギター工房です。
カスタムオーダーギター・ベースの製作、リペアとカスタマイズ、オリジナルエフェクターなどの設計・製作をしています。

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